研究に関するお知らせ

ホームへ戻る

胸部食道癌における化学放射線後の切除に関する後方視的研究

研究対象

2003年から2018年まで近畿大学病院において、隣接臓器浸潤T4食道癌と診断され化学放射線量療法施行後に右開胸食道切除術を行われた患者様を対象としています。

本研究の意義・目的

隣接臓器に浸潤したT4食道癌の治療はまだまだ厳しい状況です。遺残切除に終われば、予後は極めて不良であり、NCCNガイドラインではT4食道扁平上皮癌には放射線量50Gy以上の根治照射(definitive chemoradiation dCRT)が手術に代わる治療法と定めています。しかしdCRTだけでは再発率が40-75%と高くまだ満足いく治療でなく、さらに重要なことに、実際の臨床ではT4と診断された中には前治療が著効すれば切除できるようになるかもしれない、切除可能境界型 T4食道癌(BD-T4)が含まれています。根治切除を行うことができたなら、長期生存を得られるかもかもしれません。
ガイドラインに従うならば、dCRTが推奨治療ですが、その後の遺残にはdCRT後の手術を考慮する場合が多いのですが、dCRT後の手術は救済手術(salvage surgery SALV)と呼ばれ、一般的にSALVは術後合併症や死亡率の高い危険な治療であると認識されています。CRT後の手術を想定して合併症を減らすためにCRTは40Gy以下に抑えて切除を行う治療戦略もあります(neoadjuvant chemoradiation surgery NCRS)。別意見として、CRT後に根治切除が得られない限り利益はないので、40Gyでは効果が不足で、50Gy以上のdCRTが望ましいとする考え方もあります。どちらが望ましい治療なのかはまだまだ議論の余地があり、今回、近畿大学で行ったこれらの両方の治療法について、CRTの組織効果、術後合併症リスクなどの短期的な結果、そして再発や生存、その死因などの長期的な結果を詳細に解析し、これらの治療の特徴が明らかにすることで、今後のあるべき治療法を決定する判断材料になると考えています。

研究方法

2003年から2018年までに近畿大学病院でT4食道癌の診断で放射線治療後に右開胸食道切除術を行った患者様の診療録から必要な情報を抽出します。40Gy以下の放射線量で治療したNCRS群と50Gy以上の根治照射量で治療したSALV群に分けて、比較解析します。さらに統計学的手法を用いてこれらの治療を受けられた患者様のリスク因子を明らかにします。
研究実施予定期間は、近畿大学医学部倫理委員会で承認された後5年間です。

研究に用いる情報の種類

診療録から抽出される項目
年齢、性別、身長、体重、既往、腫瘍局在、浸潤臓器、TNM進行度、CRT詳細、CRT効果、手術情報、病理所見、術後合併症、入院期間、再発情報、生存確認期間、生死、死因

個人情報の取り扱いについて

お名前・生年月日・住所などの個人情報に関わるデータはすべて削除・匿名化されいかなる個人情報も院外には漏出されないよう管理します。二次利用の予定もありません。プライバシーに関することが公表されることは一切ありません。また、この研究は近畿大学医学部の倫理委員会の審査・承認を得ております。近畿大学医学部での単独研究であり、情報は近畿大学医学部以外に提供されません。

ご質問や研究に対する拒否の自由

本研究に関しましてお聞きになりたいことがありましたらいつでも担当医もしくは下記問い合わせ先までご連絡ください。また本研究に資料を提供したくない場合はお申し出ください。お申し出いただいても今後の診療等に影響はありません。ただしすでに論文発表や学会発表にて公表されたデータとなっている場合には撤回はできません。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出ください。

研究代表者・責任者及びお問い合わせ先

研究責任者
白石 治 近畿大学医学部外科 医学部講師
研究分担者
安田卓司 近畿大学医学部外科 教授
木村 豊  近畿大学医学部外科 准教授 ほか
研究事務局
(お問い合わせ先)
白石 治 近畿大学医学部外科 医学部講師
〒589-8511  大阪府大阪狭山市大野東377-2 近畿大学医学部
TEL: 072-366-0221 / Fax: 072-367-7771

このページの最上部へ戻る