肺・胸部
医療関係者へのご挨拶
初代教授である光冨徹哉先生の後任として、2022年4月1日より外科学教室呼吸器外科部門の主任教授に就任した津谷康大と申します。
現在、我々が専門とする切除可能肺がんの治療が世界的にも大きく変わろうとしています。本邦からの大規模臨床試験の結果、末梢型の小型肺がんに対しては従来の標準治療である肺葉切除よりも解剖学的区域切除が有意に生存を延長させることが報告されました。肺がんの標準外科治療が約60年ぶりに変わろうとしています。区域切除は技術的に肺葉切除よりも難しいのですが、それにもまして肺を温存することの重要性が示されました。今後は私の専門でもあるこの区域切除を広く普及させることが使命の一つであると考えています。また当教室にはこれらの肺がん手術を胸腔鏡補助下、小さな傷一つで行う単孔式手術、ロボット手術など多彩な低侵襲アプローチで対応できるエキスパートが揃っていることも特徴の一つです。
肺がん周術期薬物療法も大きく変わろうとしています。切除不能肺がんでは新規薬剤の登場により標準治療が大きく変わりましたが、術前・術後の周術期においてもEGFRチロシンキナーゼ阻害薬などの分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の有用性が示されており、まさに導入されようとしています。
肺がん治療の専門性は益々高まり、我々呼吸器外科医も複雑化する外科手術の技術、周術期薬物療法の知識など、多くのことが求められるようになりました。患者さんにより良い医療を届けるために当教室は全員で常に進化し続け、医学の更なる発展に貢献していきたいと思います。
2022年4月1日
主任教授 津谷 康大