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食道・胃・十二指腸各種治療法

ア.胃がんの進行度(病期、Stage(ステージ))

胃がんの進み具合を病期またはStageといいます。Stageは腫瘍自体の進行度(T)、近くのリンパ節の転移の程度(N)、近くのリンパ節以外の転移の程度(M)を総合して決められています。

(a)腫瘍の進行程度、壁深達度(T)
  • T1 : がんが粘膜(M)、または粘膜下組織(SM)にとどまるもの
  • T1a : がんが粘膜(M)にとどまるもの
  • T1b : がんが粘膜下組織(SM)にとどまるもの
  • T2 : がんが粘膜下組織を越えるが固有筋層(MP)にとどまるもの
  • T3 : がんが固有筋層を越えるが漿膜下組織(SS)にとどまるもの
  • T4 : がんが漿膜表面に接しているか、それを越えて外側に出ている、または他の臓器に及ぶもの
  • T4a : がんが漿膜表面に接しているか、それを越えて外側に出ているもの(SE)
  • T4b : がんが直接他の臓器に及ぶもの(SI)
(b)リンパ節転移の程度(N)
  • N0 : 近くのリンパ節転移がない
  • N1 : 近くのリンパ節に1~2個の転移がある
  • N2 : 近くのリンパ節に3~6個の転移がある
  • N3 : 近くのリンパ節に7個以上の転移がある
(c) 遠隔転移の程度(M因子)
  • M0 : 近くのリンパ節以外に転移がない
  • M1 : 近くのリンパ節以外に転移がある
(d) 進行度分類
StageⅠAからⅣまで決められています。
  N0 N1 N2 N3 T,NにかかわらずM1
T1a(M),T1b(SM) ⅠA ⅠB ⅡA ⅡB
T2(MP) ⅠB ⅡA ⅡB ⅢA
T3(SS) ⅡA ⅡB ⅢA ⅢB
T4a(SE) ⅡB ⅢA ⅢB ⅢC
T4b(SI) ⅢB ⅢB ⅢC ⅢC
T,NにかかわらずM1
胃癌取り扱い規約第14版

イ. 胃がんの治療方針

(a)早期胃がん
(1) 内視鏡的治療(内視鏡的粘膜切除EMR、内視鏡的粘膜下層剥離術ESD)
がんが粘膜にとどまるもので、近くのリンパ節への転移の可能性がほとんどないものに行われます。組織型が分化型であること、陥凹型の場合、潰瘍がないこと等が条件になります。内視鏡で直接見ながら、がんの部分を切除します。切除した病変は病理診断を行い、がんが粘膜より深くまで及ぶ場合や、リンパ節転移の可能性が高い場合には手術による切除が必要になる場合があります。当院では消化器内科が中心となって内視鏡的治療を行っています。
(2) 手術治療
内視鏡的治療の適応となる条件から外れる早期胃がんに対して行われます。当院ではお腹の手術の既往があり、高度の腸の癒着が予想される場合以外は腹腔鏡手術を行っております。がんとともに近くのリンパ節を切除します(これをリンパ節郭清といいます)。がんの部位によって、腹腔鏡補助下胃全摘術、幽門側胃切除術、幽門温存胃切除術または噴門側胃切除術が選択されます。
(b)進行胃がん
筋層までにとどまって、近くのリンパ節転移があっても少ない場合は腹腔鏡補助下胃切除術を、漿膜下層にとどまって、近くのリンパ節転移があっても少ない場合は開腹胃切除術を行っておりますが漿膜下層を超えて進行しているものや、近くのリンパ節転移が多くみられる場合は術前化学療法を行ったのちに胃切除術を行います。近くの臓器への浸潤、遠隔転移、腹膜転移、遠くのリンパ節転移のいずれかがみられる場合は化学療法を行い、効き具合によって手術を行うこともあります。

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